アルミニウム合金を柔らかくするには、「焼きなまし」がおこなわれています。この熱処理方法は「焼鈍」など多数の呼び名があり、温度や時間、冷却条件は素材によって異なります。ここでは、アルミ合金の焼きなましについてご紹介しています。
また、アルミニウム合金には様々な種類があり、何を作るかで使う種類が異なります。
トップページでは、目的にピッタリなアルミの熱処理会社を紹介していますから、そちらもご覧になってくださいね。
「焼鈍」もしくは「焼きなまし」は、熱処理で素材を柔らかくし、アルミ合金を構成している組織を均一に整えます。処理が不十分だと組織や硬さが不均一となり、機械加工に使えなかったり、加工ムラや曲がり、反りなどがみられることもあります。
また、焼きなましは目的により5つの種類に分けられています。偏析元素を拡散して均一化する「拡散焼なまし」、結晶粒度を揃えて均一化する「完全焼なまし」、加工性を向上させる「球状焼きなまし」、切削性を向上させる「等温変態焼なまし」、残留応力を除去して割れにくくする「応力除去焼なまし」です。
焼きなましはアルファベットの質別記号「O」で表記されます。その他、「O材処理」や「焼鈍(しょうどん)」「アニール」「安定化処理」と様々な呼び方がされています。ただ、アニールと安定化処理は、T5の熱処理を指し示している場合もあります。
また、高温焼きなまし処理後に徐冷したものを「O1」、溶体化処理など特別な加工熱処理を施したものを「O2」、均質化処理を施したものを「O3」と分けています。
アルミニウム合金の焼きなましでは、材質ごとに温度と保持時間の条件が異なります。また、材料を柔らかくするだけでなく、残留応力の除去、組織の均一化など目的によっても条件が変わってきます。
例えば、A1100は350度で1時間の保持が必要ですが、冷却条件は特にありません。また、A4032では410度で2~3時間保持したら、冷却は1時間30℃以下で260℃までと条件付けられています。
アルミの種類 | 焼きなましの条件 | ||
---|---|---|---|
温度(℃) | 時間 | 冷却条件 | |
A1050 | 350 | 1時間 | - |
A1100 | 350 | 1時間 | - |
A2011 | 410 | 2~3時間 | 1時間30℃以下で260℃まで |
A2014 | 410 | 2~3時間 | 1時間30℃以下で260℃まで |
A2017 | 410 | 2~3時間 | 1時間30℃以下で260℃まで |
A2018 | 410 | 2~3時間 | 1時間30℃以下で260℃まで |
A2218 | 410 | 2~3時間 | 1時間30℃以下で260℃まで |
A2024 | 410 | 2~3時間 | 1時間30℃以下で260℃まで |
A3003 | 410 | 1時間 | - |
A3004 | 340 | 1時間 | - |
A4032 | 410 | 2~3時間 | 1時間30℃以下で260℃まで |
A4043 | 350 | 1時間 | - |
A5N01 | 350 | 1時間 | - |
A5052 | 350 | 1時間 | - |
A5083 | 350 | 1時間 | - |
A5056 | 350 | 1時間 | - |
A6063 | 410 | 2~3時間 | 1時間30℃以下で260℃まで |
A6151 | 410 | 2~3時間 | 1時間30℃以下で260℃まで |
A6061 | 410 | 2~3時間 | 1時間30℃以下で260℃まで |
A7075 | 360 | 2~3時間 | 1時間30℃以下で150℃まで |
A7178 | 360 | 2~3時間 | 1時間30℃以下で150℃まで |
A7N01 | 360 | 2~3時間 | 1時間30℃以下で150℃まで |
焼きなましはアルミニウム合金をどうしたいかで処理方法や温度条件が変わってきます。場合によっては事前テストが必要な場合もあるほどです。焼きなましに詳しく、実績も豊富な会社に依頼すると安心です。
トップページでは目的にピッタリなアルミの熱処理会社を紹介しています。どんな熱処理に長けているのかなども見比べてみるといいでしょう。
2023年3月16日時点、Googleで「アルミ熱処理会社」と検索し、全14ページ目までに公式HPが表示されている41社からアルミ熱処理に対応している会社を32社選定。そのうち、それぞれの目的に適した3社をご紹介します。
緊急の熱処理なら…
24h受付・T5即日対応可能
大型アルミの熱処理なら…
大量の熱処理なら…
※選定条件
2023年3月16日時点、Googleで「アルミ熱処理会社」と検索し、14P目までに公式HPが表示されており、HP上でアルミ熱処理に対応していることがわかる41社から32社を選定。そのうち、以下の理由から3社を選定しました。
アルミエース:T5は当日、T6は翌日対応が可能で、今回調べた企業のうち最も対応スピードが速い
光陽産業:保有している大型炉のサイズが3000W×2300H×6000Lと、今回調べた企業のうち最もサイズが大きい
南信熱錬工業:工場内にある炉の数が50基と、今回調べた企業のうち最も炉の数が多い